トン先生のコラム  徒然 その5

10 50歳になって思うこと
*人生は有限
 本当に当たり前のことなのですが、実感としてそう思います。40歳まではそう思わなかったのですが、いざ50歳を過ぎると実感としてひしひしと感じてきます。いったい何歳まで元気で働けるのだろうか?海外にはあと何回行くことが出来るのだろうか?多分 60歳までは大丈夫だろうが、その後はどうかな〜?ワインはあと何年楽しく呑めるだろうか?などなど・・・。
 友人とバーでワインを呑みながら時々しゃべっています。そして、結論は結局、今、今しかないということです。今をとにかく充実させて楽しく健康で生きていようと決意にも似た気持ちです。人生は結局、その積み重ねなんだと思います。

*語学の奨め
 今年の5月の連休にイタリアに行ってきました。
 行ったのはローマ、フィレンツェ、ミラノです。ツアーではない家族旅行でした。初めてのイタリア旅行だったので存分に楽しもうと思い、行く前の8ヶ月間をかけてしたことがイタリア語の勉強、習得でした。イタリアに行くなら多少ともイタリア語をしゃべれた方が楽しいし、イタリア人にも喜ばれるだろうという考えのもとに始めたことです。

 歩き通勤の行き帰り、とにかく時間のある限り、語学のCDを10枚ほど聞きまくり、家では家族の嫌がる気持ちも無視してイタリア語でしゃべりかけ、うるさい!と言われても気にせず、イタリアレストランでは日本であるにもかかわらず、注文はなるべくイタリア語でしていました。そうして頭の中をイタリア語一色にして集中して覚えた結果良かった事が2つあります。
 1つは、もちろんイタリア語がある程度しゃべれるようになったことです。現地でタクシーの運転手さんと会話したり、ホテル、レストラン、ショッピングなど所謂旅行で使う会話はほとんど出来るようになりました。イタリアに30年住んでいる女性には、“あなたのイタリア語はイタリアに2年くらい住んでいる日本人のレベルですよ”と言われてちょっと頑張った甲斐があったな〜〜と嬉しくなりました。
 もう1つは、物忘れがなくなってきたことです。おそらく語学を覚えることによって記憶中枢を鍛えたために、日常の“あれ?なんだったけ?”が少なくなりました。語学の習熟は、これから起こってくるであろう脳の老化に対抗する手段として非常に有効な手段だと思います。
 僕は本を沢山読むのですが、本を読むということでは出来ない記憶の活性化が、覚えるということで可能になると思います。だから皆さん、本も沢山読んで欲しいのですが、ボケないためにも語学の習得をお奨め致します。
 
 ちなみに、“継続は力なり”ですから今はフランス語をやっています。来年フランスに行きたいからです。ただ、フランス語の方がイタリア語より難しいです。1年半はかかりそうです。

* 縁がある
 50歳になって分かったことがあります。物事がどうもうまく行かない時は、やはり無理強いしない方が良いということです。これは裏を返せば、物事がうまく進むときは、どういうわけかスースーと進んで立て板に水を流すごとく、すんなり済んでしまう、ということです。この感覚は30代では恐らく分からないものです。50歳になってそういう微妙な感覚が分かるようになってきました。自分の力、努力以外の大きな力が働いている感じが分かるのです。なぜかこっちにいっちゃダメと言われている様な感覚です。
 
 少し前になりますが、あるバーで知り合った男性がいます。この方とは、ある時期、行く先、行く先でなぜか良くお会いするのです。本当に交差点の信号待ちをしていたら横にいた。お祭りの橋を渡っていると偶然お会いする。何か別の力が働いて、そうさせられているという以外に考えられない程良くお会いします。
 男女の縁にもそういうことがあるのでしょうが、人生において巡り会う人と人の間にも、男女関係無くそういうことが起こり、何ものかに操作でもされているのか?という感覚です。僕の経験から判断するに、こんな場合は得てして良縁であることが多いようです。自分の残りの人生でまた新しい楽しみが1つ増えた気分で嬉しくなります。(2008.9.21)
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