トン先生のほんねトーク : 2017年08月の記事

日々に新たに 935 異汗性湿疹

夏本番になりました。

この頃になると、気がつかないうちに日の出は遅くなり、日の入りは早くなっています。

朝夕歩いていると、そういう日の出日の入りの時間の移り変わりを敏感に感じ取れます。

季節は秋に向かっているのです。

でも、日中は太陽ギラギラ、気温も急上昇~~。

お盆まではまだまだ夏を楽しめます~~。

そうそう、主婦湿疹とは別に、手の湿疹の中には異汗性湿疹というものがあります。

夏場になると出てきやすく、プツプツの小水疱が指のところに出来てきます。

一般的にはさほど痒みはありません。

水疱が破れると皮が剥けてきますが、あまり心配しないでいい湿疹の1つです。

もちろん、皮が剥けると水虫との鑑別が必要になりますが、皮剥けは酷くはないのでわりに視診で判断がつきます。

痒みがあればステロイド剤を使うこともありますが、普通は尿素剤を塗って様子をみます。

汗かきの方はこの湿疹が出来やすい。

つまり、汗がうまく皮膚の表面に出ることができなくて、小水疱として皮下に溜まっている状況なのですね。

まあ、見た目も症状もさほど酷くはならないので、あまり積極的には治療は行うことはしていません。

日々に新たに 934 主婦湿疹 2

昨日のブログで梅雨明けの話をしていたら、昨日やっと梅雨明け宣言が出たようです。

まあ、とりあえず夏が来た~~。

金沢はやっぱり梅雨明けが遅いですね、、。

なんとなくもう夏が半分過ぎた感じの頃に梅雨明け。

和歌山に住んでいた小さい頃の体験から、梅雨明けは7月初旬というイメージがあるので、なんだかな~~ってついつい思ってしまいます。

手掌は角質層が厚く、汗腺が多く、脂腺を欠く部位です。

普通は、外界からの刺激に強力に抵抗できる機能を持ち合わせていますが、一旦角質層にダメージが起きると回復しづらいのが特徴です。

つまり、繰り返す刺激により、保湿機能低下やセラミド(角質細胞間脂質)が溶出しやすくなり、乾燥が酷くなるのですね。

この悪循環によって、主婦湿疹はなかなか治りにくくなり、再発も起こりやすくなる。

特に冷え性の方では、末梢循環不全のために、角質障害の回復はさらに遅れることになる。

で、考えたのが、どこでもおこなっている普通の主婦湿疹治療に漢方薬治療を取り入れてはどうかということでした。

角質機能を回復させ、セラミドの生成を活発にする漢方薬というと、、、。

で、色々ある漢方薬の中で、まずは温経湯を試してはどうかということになります。

温経湯を軸に手の体質の改善というか、主婦湿疹を根本的に治療してみたいという考えが湧いてきたのですね。

もちろん、他の漢方薬の、例えば桂枝茯苓丸加薏苡仁なども、軽視茯苓で抹消循環を改善させ、ヨクイニンで手掌に潤いを与えることができる。

漢方薬はその人に合ったものを探していくというのが基本スタイルです。

で、今は、一般的なステロイド軟膏療法や抗アレルギー剤の内服治療、保湿治療に加えて、漢方治療を試すようにしています。

とにかく、何とかしてよくなって欲しいと日々思っています。

 

日々に新たに 933 主婦湿疹、進行性手掌角皮症 1

いよいよ夏本番って感じになってきました。

梅雨は明けたのでしょうか?

なんだか梅雨明け宣言が曖昧ですね、、、(笑)。

まあ、もう8月ですから、勝手にしてくれ~どっちでもいいや~っていう気分です。

主婦湿疹も外来でよく診る疾患です。

一般的には、掻痒、発赤、丘疹、小水疱、鱗屑、びらん、亀裂などを呈し、難治性の場合も多いのが特徴です。

再発もしやすい。

これに対し、進行性手掌角皮症は、乾燥、角化、亀裂、指紋の消失などが主体です。

いずれも同じ病態で起こると考えられています。

原因は、石鹸、シャンプー、洗剤、手袋、金属、楽器、パーマ液、ヘヤダイなどなどで接触性皮膚炎をおこすこともありますが、潔癖症の方などは手を洗いすぎて酷くなる場合もあります。

また、エビ、カニ、果物を触ったことにによって起こることもあります。

いわゆるかぶれですね。

医療従事者ではラテックスアレルギーなども主婦湿疹の原因になることも多いので要注意です。

主婦湿疹は外来でよく診る疾患ですが、なんといっても再発しやすいのが特徴です。

治療は、症状の酷いところはステロイド剤を塗ったり、ステロイド密閉療法を行ったり、抗アレルギー剤の内服をしたりというのが一般的ですが、美容師さんなど職業的なものは極めて難治性でコントロールが難しい。

バイトで皿洗いをする人も手が荒れてしまいます。

介護などで、手をアルコール消毒をする人もなかなか治らない。

また、女性では冷え性の方も主婦湿疹になりやすい傾向にあります。

仕事を変わったり、主婦をやめたりするわけにいきませんから、このしつこい手荒れはなかなか治らないのですね。

で、コントロールするのは当然としても、もう少しなんとかならないものかと思っています。

 

 

 

日々に新たに 932 ジベルバラ色粃糠疹

当番医があるとなんだかペースが乱れます、、、。

今日から8月ですが、7月はとっても忙しい外来でした。

例年のトータルの外来人数を超えている、、(汗)。

一日外来平均人数は200越えかも知れません。

例年、6,7,8,9月は無茶忙しい、、。

10月になるとちょっと落ち着いて来ます。

さて、ジベルバラ色粃糠疹。

これも外来で時々遭遇する皮膚病です。

はっきりした原因はなく発症します。

原因はいまだに分かっていません。

躯幹や上腕に(稀に大腿のこともあります)2~3センチくらいの赤い皮疹が出来て、痒みはあまりありません。

もちろん、痒いという人もたまにはいます。

出始めて1週間くらいで皮疹の範囲は広がってきます。

そのうち躯幹や腕全体に広がってきますが、1~2か月で消退していきます。

治療は特にありませんが、痒みがある場合には弱いステロイド剤を使うこともあります。

人にうつることもありませんし、痕が残ることもありません。

外来で一見して診断が付きますが、患者さんは初めてなのでとても不安な様です。

なにせ、皮疹がどんどん広がって来るものですから、内から来ている病気ではないかとネットなどで色々調べるようです。

外来では、まずは不安を取り除くことですが、「1~2ヶ月で自然と消えてきます。痕も残りませんので安心して下さい」と言っても、1~2ヶ月は皮膚症状が続くので、やはり不安なのですね。

嫌な気持ちはよく理解できます。

クスリを飲んだら早く治るという訳でもないジベルバラ色粃糠疹なので、この疾患は待つしか治療法はありません。

本当に大丈夫か? と思いがちですが、この場合はやはり医者を信用してもらうしかないと思っています。