トン先生のほんねトーク
日々に新たに 961 口内炎、口腔粘膜疾患
今年は秋になるのが早いですね~~。
最近、ほんの少しですが外来が楽になって来て嬉しいです。
これは毎年同じ傾向ですね。
それにしても今年も5,6,7,8月は無茶忙しかったです。
これも毎年のことですが、やっと9月になってちょっとホッとしています。
さて、外来には色々な患者さんがいらっしゃいます。
皮膚科とはあまり関係がないとは思うのですが、口内炎、口唇炎、口角炎、舌が痛い、口の中が乾燥する、味がわからない、、、などを主訴とする患者さんも少なからずいらっしゃいます。
普通のアフタ性口内炎には、アフタシールを貼ってもらったり、ケナログ軟膏を塗ってもらったりして、さらにビタミンB2の内服もしてもらいます。
いわゆる口内炎は普通は大体1週間くらいで治ってきます。
でも、結構鬱陶しいですね、、口内炎!
食事をすると痛いし、不愉快です。
患者さんの中には口内炎が出来やすい人も多くいます。
ストレスも原因のこともよくありますが、新しい知見では、亜鉛欠乏症によっても口内炎、口腔粘膜疾患は起こります。
特に最近の日本人は亜鉛の血中濃度が低い方が多いようで、様々な全身的障害を引き起こしています。
これは以前のブログにも書きましたので、そちらを参考になさって下さい。
漢方薬となると、半夏瀉心湯や桔梗湯が効きます。
こちらの方も一度試す価値はあると思ってます。
飲み方は、薬をすぐに飲み込まず、暖かめのお湯に溶かし、口腔内でクチュクチュと30秒くらい溜めておいてから飲むのが効果的です。
半夏瀉心湯は胸やけ、二日酔いにも効きますし、口の周りのニキビにもよく効いてくれます。
桔梗湯は、ちょっと喉が痛いかなという風邪の初期症状にもよく効きます。
漢方って色々な使い方があって興味深いです~~。
日々に新たに 960 多汗症
なんだか今年は秋になるのが早いですね。
東京なんかここ最近ずっと低温の日が続いていますね。
1ヵ月季節が進んでいるようです、、。
去年はもっと暑くて残暑が厳しかったように思うのですが、その年、その年で随分違うものだな~と思ってしまいます。
これから寒くなりますが、ちょっとブルーです、、。
僕は皮下脂肪が薄いので寒いのダメです~。
外来をしていると、汗が頭から噴き出す、顔が汗だくになる~~とおっしゃる方が少なからずいらっしゃいます。
う~~ん、何かいい治療はないのだろうかといつも思うのですが、特効薬みたいなものはなかなかないようですね。
で、漢方医学的に考えてみると、異常に汗が出るのは一般的には虚証に傾いているということになるようです。
そうなると補気が大事だということになり、処方としては、補中益気湯、桂枝加黄耆湯が頻用されるようです。
桂枝加黄耆湯は特に上半身に汗をかく人に適応があるようです。
また、肥満で多汗症の方には桂枝加黄耆湯や防己黄耆湯がいいようです。
でもこれは先に肥満を解消するほうがいいか、。
寝汗が多く、口渇で特に頭に汗をかく場合は、桂枝加竜骨牡蛎湯などもいいようですね。
脂漏性湿疹で、顔に脂汗の多い方には黄耆建中湯+麻杏甘石湯。
試験の時に答案用紙が汗でベタベタになってしまう方には加味逍遥散も試す価値はあるようです。
頭頚部の多汗には防己黄耆湯も効くようです。
多汗症の治療は西洋医学ではまずできません。
緊張を和らげる薬はありますが、直接汗を止める西洋医学の内服薬はないと思います。
で、漢方薬に頼ることになります。
でも、効果は人によって良く効く場合とそうでない場合があるようです。
この辺も漢方治療の難しいところだな~~と思っています。
日々に新たに 959 多汗症
大分涼しくなりました~。
歩いていても楽です。
湿度もあまり高くなく、わりに快適ですが、歩き始めはもう真っ暗、、。
首からライトぶら下げてます~(笑)。
また、夕日が沈むのも早くなりました。
季節は確実に秋になっているようです。
さて、今日は多汗症です。
当クリニックでも相談を受けることが多い多汗症です。
脇汗や手掌足底多汗症の方が相談にみえます。
治療としては、まずは塩化アルミニウム液を使用してもらっています。
かぶれる方には無理なのですが、夜1回脇、手、足底に塗ってもらうと2~3日は制汗作用が持続します。
お悩みの方は一度試されるといいと思います。
その他の治療としてはボツリヌストキシンを注射する方法もあります。
脇の注射はまだいいのですが、手や足底はどんなに細い針を使っても痛みが強いので僕はしない方針です。
1ヵ所の注射ならまだしも、片方に対し10ヵ所は注射しないといけないので患者さんが気の毒です。
しかも約半年だけの効果です。
ですので、手掌足底の多汗症治療はやはり、塩化アルミニウム液がいいと思っています。
最近では、手汗に効果が期待できる制汗剤もあります。
もちろん、当クリニックでも取り扱っています。
明日は、全身汗っかきの治療のことを書いてみます。
日々に新たに 958 老人性乾皮症
昨日はゴルフもなく、何も予定のない日曜日でした。
何も予定がない日曜日もたまにはいいものです。
日曜はほぼゴルフをしているので、普段出来ないことを時間の余裕をもってかたづけました。
庭掃除、部屋の掃除、トイレ掃除です。
で、なんだか気分はスッキリ!です~~。
9月になったので、絵の架け替えもして部屋は秋の装いです。
季節を愛でるというのはとても気持ちがいいことだと思っています。
さて、老人性乾皮症。
当帰飲子がファーストチョイスですが、掻いてしまって赤く炎症を伴うようなら温清飲もいいと思います。
でも、まあ普通は痒い部分には中間クラスのステロイド剤を塗ってもらい、きちんと保湿を行い、そして、抗アレルギー剤などを内服すれば大体うまくコントロールできます。
外来をしていると、最近は高齢者が多くなったと感じます。
認知症の方もや耳が遠い方も増えたように思います。
娘さんが付き添って受診することも多いのですが、ご家族も「痒い痒いというので連れてきました。認知症もあります、、。」
ときちんと説明してくれます。
ご家族の介護も大変だな~~と思いながら、ついついその労もねぎらいたい気持ちになります。
僕の父も認知症になってしまった(もう亡くなりました)ので、世話が本当に大変なの良く分かるのです。
また、一人で生活している高齢者も多く、しっかりはしていますが、軟膏を背中に塗ることができない。
手が届かないのですね。
で、当クリニックでは自分で背中に軟膏が塗れるように”塗るまごの手セヌ―ルⅢ”というのも置いてあります。
そして、高齢者は沢山薬を飲んでいることが多い。
で、飲み合わせにも注意しながら抗アレルギー剤や漢方薬を選択しています。
日々に新たに 957 老人性乾皮症、皮膚掻痒症
朝夕涼しくなりましたね~。
家に帰ってお風呂の窓を開けて秋の虫の声を聞いていますが、外気が大分涼しくなったと感じるようになりました。
風邪などひかないように、季節の変わり目なので体調管理をしっかりしたいところです。
老人性乾皮症は、加齢によっておこる皮脂欠乏、発汗減少が原因です。
加齢による手足の冷えや四肢の循環障害も症状を悪化させます。
治療は保湿剤や抗アレルギー剤や抗ヒスタミン剤などですが、抗ヒスタミン剤は老人に特有の尿路閉鎖性疾患を増悪させることもあるので注意が必要です。
で、漢方薬を使うとなると。なんといってもファーストチョイスは当帰飲子。
当帰、芍薬、川芎、地黄、黄耆、荊芥、防風、何首鳥(カシユウ)、甘草などがその構成です。
効用、効能は冷え性のものの次の諸症:慢性湿疹(分泌物の少ないもの)、かゆみ。
証は、比較的体力の低下した人の皮膚疾患で、掻痒を主訴とし、分泌物の少ない場合に用いる。
皮膚が乾燥して湿潤していないもの。老人に適応されることが多い。
とあります。
黄耆は皮膚機能を高め、防風、蒺り子、荊芥は掻痒を止める配合です。
まさに、当帰飲子は老人性乾皮症の改善にピッタリの構成になっていると思います。