トン先生のほんねトーク

日々に新たに 901 擦り傷の治療 4

さて、擦り傷。

擦り傷がある程度治って皮膚も出来てきて、擦り傷の部分は赤い状態になります。

で、他の医療機関では「これでおわり~」となるのでしょうが、形成外科である当クリニックではそうはいきません。

というのも、赤い部分は1ヵ月後に色素沈着を起こしてくることもありますし、部位によってはケロイド(赤い盛り上がり)になってくることもあるからです。

顔では、上口唇の部位はケロイドになりやすい。

肘、膝もケロイドになりやすい、、。

顔では、擦り傷の部分が1か月後に色素沈着を起こしてきて、茶色が目立ち、その色素沈着は紫外線防止もきっちりしないとシミになってしまうこともあります。

茶色になって来るようだったら、ビタミンCの内服も必要になるのです。

一旦茶色の色素沈着を起こすと、薄くなるのに最低でも半年はかかる、、。

まあ、擦り傷の深さや範囲、あるいは本人の体質にもよりますが、大体は皮膚が出来て患者さんは安心しますが、僕はその後の経過が分かるので、いつも口を酸っぱくして「もし、茶色になったり、傷が盛り上がってくるようだったら早めに受診して下さいね」と言っています。

傷は管理するものです。

きっちりしたことを言うと傷が治るには約1年かかります。

傷跡を目立たなくさせる、、。

これは形成外科医の使命だと思っています。

日々に新たに 900 擦り傷の治療 3

沖縄では梅雨明けしたようですね。

本格的に夏到来!ってところでしょうか。

北陸は6月21日に梅雨入りしたようです。

北陸の梅雨入りは例年より9日ほど遅いようです。

さて、擦り傷の話の続きです。

最近では色々な創傷被覆材も開発されているようですが、一般の医療機関では昔からあるソフラチュールが良く使われています。

しかし、ソフラチュールだけだと、ソフラチュールが擦り傷の面にくっつきやすく、2,3日放置していると乾いてしまい、ガーゼ交換するときに剥がすと結構痛い。

じわっと出血もしてくる。

そして、せっかく表皮化しようとしている組織を一緒に剥がしてしまう(表皮化には逆効果)ので、何のための創傷被覆材か?って感じなのです。

で、僕はソフラチュールは使いません。

擦り傷はウェットにして治すのは大原則です。

当クリニックでは、軟膏をたっぷりつけて湿潤させて組織を保護し、組織とくっつかない特殊な被覆材を使用しています。

そして、2~3日に一度傷はきちんと観察する。

これもとても大事です。

擦り傷の部分はシャワーで濡らしてもかまいませんが、お風呂のため湯には浸けないように指導しています。

いまだに傷を濡らしたらダメという先生もいるのにはびっくり!

傷は洗わないとばい菌感染しやすくなるし、残念ですが創傷治癒のことが全然分かってないな~~とついつい思ってしまいます。

当クリニックでは、患者さんにガーゼ交換の仕方をきちんと教えて、通院は2,3日に一度くらいにしています。

2,3日に一度くらいはきちんと傷を診て、感染が起こっていないか、あるいは表皮化がうまく進んでいるかなどの判断を行うのです。

擦り傷や切り傷は放っておいてはいけないのです。

きちんと観察して傷の治りをコントロールすることが大切なのです。

コントロールすることよって傷を出来るだけ綺麗に治そうと努力しています。

何事もそうだと思いますが、悪くならないようにきちんと定期的に観察し、判断し、コントロールする。

ここが肝心だと思っています。

 

日々に新たに 899 擦り傷の治療 2

今日は木曜日!

手術日ですが、手術を無しにして休養~~(笑)。

月、火、水の診療をすると実のところグッタリなのです。

ここの所、診療時間はめいいっぱいで、息つく暇もありません。

では、擦り傷をしてしまったらどうすれはよいか。

洗うのはとてもしみて辛いのですが、大まかにはざっと表面だけ洗い流して、濡らしたタオルやハンカチで擦り傷を覆い病院に来て欲しい。

乾いたタオルなどはダメです。

ひたひたの状態が望ましい。

そして、出来るなら形成外科を受診して欲しいというのが本音です。

患者さんにして欲しいことは、擦りむいた段階ですぐに泥、砂、埃などをざっと洗い流し、濡れタオルで保護するということです。

形成外科医は擦り傷を注意深く観察します。

砂、泥が表面に付着しているだけなら、軽く優しく消毒して(消毒液も組織にダメージを与えないものを使います)、軟膏をたっぷり塗ればそのうち取れてきます。

しかし、泥、砂などが擦り傷に深く入り込んでいる場合は、局所麻酔をして出来るだけ砂や泥を掻き出します(ブラッシング)。

特に顔などの場合には、後々に外傷性刺青になってしまうので、泥、砂が組織に入り込んでしまわないように出来るだけピンセットなども使って取り去ります。

忙しいさなかの外来中ではありますが、このまめで細かい作業により、外傷性刺青を防ぐことが出来るのです。

これをやるとやらないとでは結果は大違いです。

でも、僕が見る限り、残念ながらきちんと初期治療をやってくれる施設はすくないと思います。

で、泥、砂を取り除いた後は擦り傷の形成外科的な管理になります。

明日はもう少し話を進めてみます。

日々に新たに 898 擦り傷の治療

今日は夏至です~。

一年で一番日が長い日。

あいにく天気は雨ですが、夏至になると一年の半分が終わったような気がしてしまいます。

今日の金沢の日の出時間は4時35分、日の入りは19時15分とのことです。

日照時間は14時間40分。

擦り傷も形成外科医が得意な分野です。

擦り傷は、水道水などでよく洗った後、軟膏をつけてウェットな状態で治すのが基本です。

と、こういえば簡単なのですが、実際はなかなか難しい、、。

というのも、まず、水道水で洗うと言ってもこれ、結構というかかなりしみます。

痛い痛い~~、痛くて洗えない~~というのが本音のところではないでしょうか。

でも、砂、泥、埃などはやっぱり洗い流すしかないのですね。

ここは、気合いを入れて我慢!なのです。

でも、普通は痛くてなかなか洗えないかもしれませんね。

で、洗った後はというと、抗生物質の軟膏をつけ、傷にくっつかない特殊なガーゼで覆うのが一番なのですが、最近はちょっと洗った後に、某有名医療品メーカーの”キズ〇〇ー〇ッ〇”を貼って来院する方が多い。

それを貼っていればすりむき傷は綺麗に治るとお考えの患者さんが多いのです。

この”キズ〇〇ー〇ッ〇”

傷をウエットで治すという考え方はいいのですが、3日も貼ったままにすると、ほどんどの場合ばい菌感染を起こしています。

剥がしてみると、”キズ〇〇ー〇ッ〇”の下は膿だらけ、、、ってことが多いのです。

一旦ばい菌感染を起こすと傷が深くなってしまい、なかなか治らないという状態になります。

傷跡も残りやすい、、。

”キズ〇〇ー〇ッ〇”の下は、膿と浸出液で膨らんでしまい、汁も横から漏れてくる、、。

で、最近は”キズ〇〇ー〇ッ〇”を貼っているのに、どうも化膿しているんじゃないかと思って当クリニックに来院される方も多くなっています。

 

 

日々に新たに 897 忙しい外来

梅雨前線が北上しないために、梅雨と言っても晴れの日が続いています。

まあ、歩くのには楽ですが、農家の方は困っているかも知れません。

雨が降らないと作物が育ちませんね、、。

アジサイも咲いていますが、なんだか元気がないように見えます。

やっぱり、雨に濡れた紫陽花が風情があっていいな~~と思います。

でも、今週末からは梅雨らしい天気になりそうなので一安心というところでしょうか。

さてさて、腫瘍のことを沢山書いてきました。

当クリニックで行う手術の大半を占めるのが腫瘤摘出だと思います。

毎年毎年、本当に沢山の手術を行っています。

僕は還暦一歩手前なので、無理せず体力温存も考えながらやろうと考えています。

毎年のことですが、ここ最近外来がとても忙しい、、、。

外来人数が一日200人を超える日が普通になってきています。

来てくれる、あるいは長時間待っても僕の診察を希望される方を大事にしたいと思っています。

毎日毎日、スタッフ共々、一生懸命、本当に一生懸命、息つく暇もなく仕事をしている状態です。

これから暑くなるととびひや虫刺されの患者さんも増えてさらに忙しくなる予想~~。

出来ることしかできないですよ~~とは思うのですが(笑)。

で、もうちょっと、もう少しでいいから余裕が欲しいな~と思っています。

なぜ?

僕らの年代では、無理しすぎると、あるいは働き過ぎると病気になる確率が高いからです。

30代、40代とはやはり違うのです、、。

重々に気をつけなければいけないところなんですね。