トン先生のほんねトーク
日々に新たに 891 腱鞘巨細胞腫
なんだか最近は寒いですね、、。
朝シャワーするのですが、これが結構寒い、、。
今日も最低気温が13~14度、最高気温が20~21度です、、。
なんと4月下旬の気温らしいですよ~。
5月が暑かったので、なんだか調子が狂いますね、、。
さてさて、皮膚、皮下腫瘍について大分書いて来ました。
当クリニックで普段よく目にするのは大体こんなものです。
後は~~・・と考えると、手に出来る腱鞘巨細胞腫というのがあります。
腱鞘巨細胞腫は良性なのですが、骨巨細胞腫は悪性です。
日常、外来をしているとお目にかかるのはほぼこの腱鞘巨細胞腫です。
開業して23年ですが骨巨細胞腫に出会ったことはありません。
骨巨細胞腫は大学病院などで治療すべきものです。
腱鞘巨細胞腫は局麻下に摘出するのですが、これが結構厄介です。
というのも、一個ならいいのですが、多発するような場合は本当に摘出するのに難儀します。
数珠つなぎに腫瘍が手の指の周りを取り囲んでいるような場合もあります。
指は神経・血管が細く、それを傷つけないように、愛護的に摘出するのには根気と結構細かい手技が必要になります。
そして、さらに厄介なことに、腱鞘巨細胞腫は再発があり得るのです。
で、手に多発する巨細胞腫は手の外科専門の先生のいるところに紹介しています。
僕の専門は手の外科ではありますが、顕微鏡などが必要な場合があるので(当クリニックにはありません)、摘出手術は大きな病院の方が安心です。
まあ、頻度は少ないですが、腱鞘巨細胞腫も外来で時々出会う皮下腫瘍(軟部腫瘍)です。
日々に新たに 890 グロームス腫瘍
さて、今日はグロームス腫瘍。
これは指の爪の下にできる血管腫です。
もちろん良性の腫瘍です。
症状は圧痛があり、指先が冷えると痛みが増します。
肉眼的には爪の基部が少し赤い程度。
レントゲンを撮ってみると、長い経過のものでは骨の圧排像があることもあります。
大きさは、ほとんどの場合3~5ミリ程度です。
治療は局所麻酔下に腫瘍を摘出します。
摘出後は、爪はほとんどの場合ちゃんと生えてきます。
ただ、完全に生え変わるには大体10か月くらい要します。
腫瘍があまり大きい場合には、摘出後に爪の変形をきたすこともあります。
教科書的には指先の爪に激痛があるということなのですが、臨床的な経験では、痛みがあっても日常生活にすごく支障があることはまれです。
冷水に浸けると痛みが増すのが特徴だと言われています。
基本的には小さな血管腫なので、取り去ってしまえば問題なく治癒が望めます。
日々に新たに 889 混合腫瘍
今日の午後は都合により、午後の外来は2時に締め切りになります。
今日来院されたい方は、出来るだけ午前中にお願いいたします。
そうそう、皮下腫瘍の1つに混合腫瘍というものもあります。
僕の経験では、顔面特に耳の前などに発生しやすいようです。
この腫瘍はもちろん良性です。
皮膚の上から触ると、少し硬めです。で、可動性良好でコロッとしている。大きさは大体2~3センチくらい。
摘出はさほど難しくありませんが、予想よりも深いことが多い。
ちょっと厄介なことは、耳の前は顔面神経が走っている部位なので、重々に気をつけなければいけません。
これも愛護的に神経を分け入り、周りの癒着をそっと剥がし、コロッとした腫瘍を取り出します。
色は乳白色。
このように皮下腫瘍は、出来る部位によって簡単に摘出出来る場所もあるし、摘出に非常に神経を使う部位もあります。
僕は一番気をつけなければいけないのはやはり顔面だと思っています。
大事な神経がいっぱい走っているし、重要な血管も多い。
まあ僕は形成外科医で、約30年もやっていますから、顔面の腫瘍摘出の経験はかなり沢山ありますが、それでもいつも気を使いながら慎重にならざるを得ない。
傷も出来るだけ目立たなくさせたい。
そういう気持ちでいつも顔面の皮下腫瘍を摘出しています。
日々に新たに 888 神経鞘腫
入梅直前のいいお天気になりました。
やっぱり晴れがいいな~~とちょっと嬉しくなります。
神経鞘腫は良性の腫瘍です。
神経線維腫はわりに簡単に摘出出来るのですが、神経鞘腫は、一般的には顕微鏡を使って愛護的に摘出する繊細な技術が必要です。
というのも神経は束になっていて、束になっている神経からそ~~と、正常な神経を傷つけないようにして取り出すことが必要だからです。
術前にMRIなどの検査も必要になります。
症状としては、それより末梢の神経の痛みしびれを引き起こすことがあります。
外来で診察した時には、腫瘍部分を軽く叩いて、末梢にビリビリくるような症状(Tinel’s sign〈チネル徴候〉)が特徴的です。
当クリニックの外来でもたまに神経鞘腫に遭遇しますが、この摘出には手術用顕微鏡が必要なのでその設備がある病院を紹介するようにしています。
というのも、ずいぶん以前になりますが、女子医大形成外科時代、僕自身が神経鞘腫の顕微鏡下摘出を行っていたので、操作の難しさや高度な手術手技を必要なことをよく分かっているからです。
神経鞘腫は安易に肉眼的に摘出してはいけない腫瘍なのです。
自分のところでできない手術は自分でせず、きちんとした設備が整っている病院に紹介する。
当たり前ですが、これは患者さんの為です。
患者さんにとってベストの治療を考える。
自分がやったことのない手術はしない。
これが治療の大原則だと思っています。
日々に新たに 887 神経線維腫
なんだか空がどんよりしてきました。
いよいよ梅雨~~って感じ。
昨夕は歩いて帰ると湿気が肌に纏わりつきました、、。
つい2日前までは爽やか~~って言ってたのですが、、(笑)。
季節はすぐに変わりますね、、(汗)。
そうそう、皮膚の良性腫瘍の1つに神経線維腫というものもあります。
皮膚に出来るものは、末梢神経から発生するものです。
治療はこれも切除縫合。
形成外科外来で普通に出会う腫瘍です。
普通は皮膚に一個ほどできるような場合が多いですね。
大きさは1センチ程度。
これが全身に発生するような疾患は、聞いたことがある人もいらっしゃると思いますが、レックリングハウゼン病。
全身に多発する神経線維腫が特徴です。
また、カフェオレスポットも伴うことが多い。
レックリングハウゼン病は常染色体優性遺伝の遺伝疾患です。
ただ、両親に症状がなく、突然変異的に起こることもあります。
生下時に、皮膚にカフェオレスポットが6個以上あるような場合は要注意と言われています。
カフェオレスポットは扁平母斑と区別がつかきません。
ただ、茶色いあざが6個以上あるお子さんは将来神経線維腫症(レックリングハウゼン病)になる可能性があるので注意が必要です。
日本においての発生は10万人に30~40人と言われています。
まあ、まれに外来でもレックリングハウゼン病の患者さんを診察することはあります。
以上、一つくらいあるような柔らかめの神経線維腫は取ってしまえば全然問題ありませんのでご安心ください。